♪ぶっつけ本番旅日記♪partI
砂漠の国の水不足


朝起きてすぐ、わたしたちは、アッシアの王様に会いに行くことにした。
今日は運もよく、サーカス団の興行もないみたいだし。


謁見の間に入ると、王様が笑顔で迎えてくれたわ。
王様は、わたしたちのことを覚えていてくれたみたい。昨日の曲芸を褒めてくれたわ。
王様がご機嫌なようなので、わたしは、うみなりのかねのことを聞いてみることにした。
でも、もちろん、サーカス団の団員に、ほいほい見せてくれるはずはないわよね。
王様は、わたしたちに、ひとつ条件を出してきたの。
それは、わたしたちが町へ出て、人々の悩みを聞きだしてくること。
なんでも、先代の王様の評判は良かったんだけれど、今の王様は評判が良くないらしいの。
いわゆる、“芸のない三代目”と思われちゃってるみたい。
だから、町の人の悩みを解決してあげれば、信用を取り戻せると思ったらしいのね。
そして、その悩みを調べてきたら、宝物庫の宝物――うみなりのかねをくれるというの。
わかったわ!
わたしたちも、うみなりのかねがほしいけど、それより王様のためにひと働きしてあげようっと!
だって、王様、いいひとみたいなんだもの。かわいそうじゃない?


町に出ると、井戸端で洗濯物をごっそり抱えたお姉さんが、困っているみたい。
話しかけると、井戸から出る水が少なくて困っている、ということ。
わたしたちは、王様に伝えることを約束して、井戸の中に入ってみた。
現場を見て行った方が、王様にも伝えやすいしね。


井戸の中に入ったわたしたち。
水路を見てびっくりしちゃったわ。
 だって、ちょっとしかお水がないのよ!
ううん、お水って言っても、水路の角にほんの小さな、水溜り程度しかないの。
これじゃ、アッシアのひとたちが渇き飢えちゃうわ!
それに…なんでまものが出るのよ!!
まものたちも、外の砂漠にいるのがツライのかしら…
ゴーストと仲良くなったので、名前をつけて牧場のお兄ちゃんのところへ。
名前はイアンナ。初めての女の子よ。
でも…マルタまで行けるのかしら…?マルタの鍵は、わたしが持っているし…


…深く考えないことにするわ!


井戸をさらに進んで行くと、いきどまりになった。
でも…なに…?なんだか…むこう側からせき止められているみたい。
水路に、丸太でせんがしてあるって言うか…これをダムっていうのかしら?
むこう側を見てみようとしたんだけれど、丸太のほうがわたしたちより背が高くて見えなかった。
でも、とりあえず、なんとなく状況がつかめたわ。さっそく王様に報告よ!


お城に戻って、王様に報告すると、王様は、兵士を呼んで、水路に水を流すように命令したわ。
話を聞いていると、どうやら水路を管理しているのは、カルカラの村。
だけど、兵士は反対したの。
理由は、あんまり無制限に水を流してしまうと、オアシスから水がなくなってしまうから、ということ。
そうよね…だけど、あのまんまじゃ、よくないと思うわ!
わたしたちが、井戸の中の状況を説明しようとしたとき、
「もうよい!カルカラへ行って真実を見極めてくる!!」
そう言って、王様が飛び出して行っちゃった!
王様、行動力があるのはいいけど、あんまりにも無鉄砲すぎるんじゃない?
兵士もあ然としていたけど、誰も王様を追っていこうとしないの。
 ほんとに信用ないのね、あの王様。
仕方ないわ!外にはまものがウヨウヨしているし、わたしたちが王様を追っかけなきゃ!


でもね…
一生懸命走って行ったんだけど、途中でどうしてもバトルがあったりして、王様には追いつけなかったの。
仕方がないので、とにかく、カルカラの村に入ってみたわ。
そして、水路の管理人さんのところに行ってみた。
あら…?王様、もう来てるじゃない!
王様と、管理人のおじいちゃんは、大きな声でもめていた。
おじいちゃんは、お城の兵士と同じことを言って、王様を止めようとしたのだけれど、
王様は、真実を見極めたい、の一点張り。
とうとう、おじいちゃんを突き飛ばして、水路の中に入って行っちゃった。
もぅ…仕方ないなぁ。また追いかけなくちゃ。


水路の中に入って、奥に進んで行くと、王様と、ビーバーのようなまものが言い争いをしていたの。
どうやら、このまものが、水路をせき止めていたらしいのね。
話を聞くと、ここにダムをつくって水をせき止めて、一族のマイホームを作る、と言っている。
だけど…そのままじゃあ、アッシアの都が干上がってしまうわ!
そのことを言ったら、彼は怒って、戦いを仕掛けてきたの!
ちょっと!まずは話し合いよ!暴力反対っ!


わたしたちの“説得”をわかってくれたのか、彼は、穏やかに話してくれたわ。
なんでも、本当は幻の湖に住んでいたのだけれど、
ある日とつぜん、盗賊団がやって来て、彼らの家をアジトにしてしまっていたらしいの。
だから、彼は一族が静かに暮らせる場所を探していたんですって。
盗賊団って、なんてひどいヤツらなの!?
王様も、これには心を痛めた様子。彼らの家を取り戻すことを約束した。
ここで、話は決着して、そのまものはダムを壊してくれたわ。
これでひとまず、水不足は解消ね!


王様が、うみなりのかねをくれるというので、アッシアのお城へ戻ったわたしたち。
王様と一緒に、宝物庫へ行ったの。
うみなりのかねって、どんなものなのかしら。マルタのへその代わりになってくれるといいんだけど…。
ところが。
わたしたちのいないスキに、盗賊団がやってきて、宝物庫の宝物をそっくり盗んでしまっていたの!
王様はもう堪忍ならない様子で、すぐ、謁見の間に兵士を集めて、
盗賊団を捕らえに、彼らのアジトになっている幻の湖へ行ったわ。
わたしたちに、「無事に帰ってこれたら、うみなりのかねを渡す」と言い残して…
でも、なんだか心配だわ…。
よーし、ついていっちゃおう!何か役に立てるかもしれないし!


でも、ちょっと休んでからにしようっと。
待ってなさい、盗賊団!

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