♪ぶっつけ本番旅日記♪partI
精霊の使い


わたしが、凍った泉のまんなかで、盾に触れたとき、どこからともなく、美しい声がした。
「まぁ、私の声が聞こえるのですか?」
聞こえてなかったらこんなマヌケな言葉もないわね…
“声”は続けた。
「私はこの泉の精霊です。
失われた力をたくわえ、よみがえるはずでした。」

と、とっぴょうしもないわね…
なんで力を失っているのかとか、全然知らないんだけど…
話を聞いてみると、何者かが人々の心に暗い影を落とし、ついに泉も凍ってしまったとか。
ふぅん…
それと泉が凍ったことと、どういう関係があるのかしら…?
そのへん、よくは分からないんだけれど、おかまいなしに、精霊は続けたわ。
「人々の心に平和が戻れば、私もきっと…
お願いです!人々の心に平和を取り戻してください!」

もちろんよ!
精霊は、平和を取り戻した時には、大空の盾をくれると約束してくれてから、
なにやら変な模様の入ったメダルのようなものをくれたわ。
これは、“精霊のしるし”といって、精霊の使いが持つものみたい。
これを持って見せれば、お城にもいれてくれるだろう、ということ。


わたしたちは、ノースデンに戻って、お城へ行ってみることにした。
お城の前で、兵士にしるしを見せたんだけど…
兵士「なんだ?このこ汚いメダルは?
余計なお世話よっ!
でも、その兵士は、わたしが精霊の使いであることを信じてくれて、お城の中にいれてくれたわ。
さぁ!王様に会ってみるわよ!


「国境の山はわが国が先に手をつけた場所あとからきた西の国が権利を主張するなど
ぬすっとたけだけしいとはこのことだどちらにしろ西の国がひかぬ限り解決せんのだ
それまでは今まで通り国境の封鎖はやめん!!!」

な…なんだか、イキオイに圧倒されるわね…
王様は、わたしが精霊の使いだと聞いても、鼻で笑っただけ。
それから、立て板に水の勢いでこう言ったの。
わたしが何か言おうとしても、全く受けつけてくれない。困ったものだわ!
でも…何かが不自然に感じるのは、わたしの気のせいかしら?


ノースデンでねばっていても何も変わらないような気がするし、国境へ行ってみることにするわ!


と、思って出かけたんだけど…
あ、あれ…?道を間違えたのかしら?ノフォーという港町に着いてしまったわ。
活気、ないわね…。
まぁ、海が凍っているせいで、船で来られないみたいだから、それも仕方ないのかもしれないけど…。
とにかく、寒くてしかたないから、手近の建物に入った。
そこは酒場だった。どよ〜んとした空気が漂っている。
氷のせいで漁に出られない漁師さんたちが、恨めしそうな顔で飲んだくれているせい。
まったく、だらしないわね!
その酒場の片隅に、なんだか趣味の悪い服を着た男の人が座っていたわ。
話をしてみると、東の国から研究のためにやってきた学者さんだそう。
氷のせいで船が出なくて、足止めをくらって困っているみたい。
まぁ、こればっかりは仕方ないわよね…
ふと見ると、少し離れたカウンターに、女の人が座っていて、意味ありげにこちらを見ていたわ。
なにかしら?
「はぁ…学者さんってステキだと思わない?あの知性溢れる瞳が最高なのよね…」
と、うっとり目のお姉さん。
お姉さんはなおも続けたわ。
「目が合ったときに微笑んでくれるときの顔なんて、もぉすっごくかわいいのよね…
あれ見たら1週間薔薇色っていうか事あるごとに思い出して微笑んじゃうっていうか、
もぉ、モー娘。なっちも許せちゃうっていうか、一生懸命阪神タイガース応援しちゃうっていうか…」

やだ!クリスじゃないの!!(爆)
ここまでしてココに出たいわけ…?
というか、クリス、言っていることが危ないわよ…(余計なお世話じゃいっ!)


国境はもっと西のほうだと聞いたから、そっちへ改めて行ってみることにするわ!

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