♪ぶっつけ本番旅日記♪partI
鉱山の悪魔


ノフォーを出て、国境を目指すわたしたち。
今回はなんとか、たどり着くことができたわ!


国境には、ノースデンの兵士たちがずらっと並んで、道を封じていたわ。
これじゃあ、どうやっても西の国には行けそうにないわね…。
とにかく、そこにいた、人のよさそうな兵士に、話を聞いてみることにしたわ。
「オレたちが掘り進んでいって金を見つけた穴が、西の奴らが掘っていた穴とつながってしまったんだ。
どちらも自分の国のものだ、と譲ろうとしないんで、見てのとおり、こうやって睨み合っているわけさ。」

まぁ、どうしようもないわね…
私も、お兄ちゃんとおやつのケーキを取り合ったことあるから、わからないこともないんだけど…。
兵士さんたちは、まだ冷静な感じだけれど、炭鉱夫さんはそうもいかないみたい。
「オレたちが金を見つけた穴に割り込んでくるなんて、北のヤツらはどういう神経をしているのかねぇ。」
なんて、ぷんぷん怒っている。
でも…西の国の言い分はどうなのかしら?
話によれば、北と西は、鉱山の中でつながっている、ということよね。
それじゃあ、鉱山の中に、西の人がいるかもしれないわ。探しに行ってみましょ!


西「北のヤツら、オレたちの金を横取りしようだなんて、欲深なヤツばかりで全く信用できん!
オレたちの土地も奪おうとたくらんでいるに違いない!」
北「この金はわが国のものだ!西のヤツらには渡さん!」
西「金の鉱脈は目の前だ!早い者勝ちだからな!」
北「よっこらせ!いそがないと西のヤツらに先を越される!」

似た者同士だわ…
これじゃ、譲り合いなんて難しいかもね…。
どうしたらいいのかしら?
考えたんだけど…どうもいい案が浮かばないわ…う〜ん…どうしたらいいのかしら…


なんて思っているうちに、…あら?ここはどこかしら?
なんだか、随分奥のほうまで来ちゃったみたい。
遠くに、一生懸命金を掘り出そうとしている炭鉱夫さんたちが見える。
わたしたちが、もと来た道を戻ろうとしたとき。
…?何か、向こうの方で光るものが見えたような…?
わたしはとりあえず、そこまで行ってみることにした。
わたしの進む先に、小さな砂山があったわ。その中に、きらりと光るもの…もしかして、あれが金?
でも、あれっぽっちしかないじゃない!
まさか、あれだけの金のために…?
わたしが砂の中から、その小さな金をすくいあげようとした、その時。

きゃっ!
爆弾岩「おっと、それを調べてもらっちゃ、こっちが困るんだよ。」
あんたみたいなのの方がよっぽど困るわよっ!
あ〜、びっくりした…
爆弾岩は、わたしたちを睨みつけて言ったわ。
「表のヤツらみたいに、金の夢でも見てればいいものを…
こそこそかぎまわられちゃ計画が台無しだぜ!」

計画って言ったわね!?
やっぱり、まものが仕組んだことだったんだわ!
よ〜し、こてんぱんにやっつけてやるっ!


「くそ!もうヤケクソだ!!
メガンテ!!

わたしたちに負けた爆弾岩は、そう叫んで、自爆したわ。
なにもそこまで思いつめなくったっていいのにね。
さすがに、爆発音に気がついたのか、向こうから、北と西の炭鉱夫が声をかけてきた。
彼らは、わたしの目の前にある金を見つけて、ハニワ顔になって言ったわ。
「最初からこれだけしかなかったのか!!
なんてこった…そうするとオレたちは今まで、こんなちっぽけな金をめぐって争っていたのか…」

そして、彼らはあわてて、それぞれの王様に報告しにいった。
よかった…これで、なんとかなりそうね…
わたしは、目の前にある小さな金を拾って、遠くに投げ捨てたわ。
金、か…
人間、お金が絡むと、なにをしでかすかわからないものなのね…


わたしたちは、鉱山を出て、ノースデンに戻ることにした。

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