♪ぶっつけ本番旅日記♪partI
ノースデンの王様


鉱山から出て、一度ノースデンに戻ることにしたわたしたち。
ノースデンで一休みして、またここに来る頃には、国境の封鎖も解かれているはずよ!


…と、思ったんだけど、そううまくは行かなかった。
ノースデンの王様が、“金が少ししかなかった”ということを認めようとしないらしくて、
兵士たちも困り果てている。
精霊の使いであるわたしは、兵士に王様の説得を頼まれたんだけど…
いくら精霊の使いとはいえ、兵士が言っても聞かないことを、

子供に言われて素直に聞く!?
そして、それは事実、そのとおりで。
王様はこの前よりも数段レベルアップしたようなイライラ顔で叫んだ。
「なんじゃおぬしはまた鉱山に金がないなどと西の国にだまされおってわしを指図しにきたか
精霊の使いと偽って実は西のスパイであろうそのようなものは地下牢で朽ち果てるがよいわ!!」

スパイだったらまものを連れるなんて目立つようなことしないわ!
なんて、反論する間もなく。

がっぱん。
きゃぁぁぁぁぁぁぁっ!?
わたしたちは足元に開いた落とし穴に落ちていった…


あたたたた…
頭から落っこちて流血、なんてことはなかったけれど、
それでも高いところから落ちたから、おしりを思いっきり打ってしまった。
うぅ…でも、なんとかみんな、無事みたいね…
はるか頭上には、今落ちてきた四角い穴が見える。
辺りは真っ暗闇だったけれど、そこから漏れてくる光のおかげもあって、だんだん目が慣れてきたわ。
目が慣れてくるとともに、暗い中に、ふたつの人影があることに気がついた。
1人はカメハ王子、もう1人は…王様!?
…え?カメハ王子がいることにももっと驚け、って?
だって、カメハ王子って、神出鬼没だし、もう慣れたのよ!


王様「おお、ありがたい、助かった!ふたりでは心細かったぞ!」
別に助けに来たわけじゃないけど…
しかも、カメハ王子、頼りにされてないのね…
王様は、事の真相を少し語ってくれたわ。
「わしが本当の北の王。上にいるのはニセモノだ!寝ている間に捕まって、ここに閉じ込められておった。
逃げ出したいのだが出口が塗り固められておってな…
最近ふさがれたのだが、どこにあるかさっぱりわからん。」

そんな…わたしたち、ここで死んじゃうの?
で、でも、希望を捨てちゃいけないわ!
…最近ふさがれたってことは、…“サントハイム脱出大作戦(笑)”で、いけるかしら?
「くそっ!出口はどこなんだよ〜!
早く見つけないと、オレたちみんなここで腹をすかせて死んでしまうぞ!」

もぅ、カメハ王子、うるさいわよ!
っていうか、そんなところに突っ立ってないで出口を探しなさいよ!
…あら?あの壁だけ、他のところより色が新しいわ…
試しにゲンコツでたたいてみても、他のところより、返ってくる音が軽い。
すると、いきなりカメハ王子が、
「そんなところにあったのか!イル、ちょっとどいてろよ!」
わたしたちが少し横に移動すると、カメハ王子は、壁に体当たりした。

がっこん。
なんと、壁が崩れて、向こうに通路が見えたわ!
カメハ王子と王様は、我先に、という感じで飛び出して行った。
さぁ!わたしたちも早くここから出ましょう!


通路の突き当たりのはしごをのぼると、それは謁見の間につながっていたわ。
玉座の前では、…ふたりの王様がとっくみあって争っていた。
「わしが本当の王だ!このニセモノめ!」
「な、なにをいうニセモノ!わしが本当の王だ!」
わ、わかんない…
見た目はそっくり。
ただ、どっちかっていうと、薄汚れた方、地下牢で一緒だった方の王様が、本物な気がする。
そう思って、綺麗な服を着た方の王様に話しかけると、彼はイライラ顔で、
「わしのことをうたがウキッ… しまった!ついウキッと言ってしまった!」
…え〜と…それは駄洒落なの…?
よくわかんないけど、「しまった!」とか言ってる時点であやしいわ!
彼は悔しそうに、ギリギリと歯を鳴らして叫んだ。
「くそっ!王になりすまして争いを起こす計画が、おまえのせいで台無しだ! 許さんぞ、キッキー!」
ニセの王様は、正体を現わしたわ!シルバーデビルだったのね!
王様になりすまして戦争を起こそうとするなんて、許せない!


シルバーデビルをあっさりと倒したわたしたち。
王様はすぐに、国境の封鎖を解くように、兵士に命令した。
これで、やっと西の国に行けるわね!

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