♪ぶっつけ本番旅日記♪partI
南の森のユナ姫?


南の森へ向かうユナ姫を見た、という証言を頼りに、南の森へ行ってみることにしたわたしたち。
森はウィストンの町から南、ウエスターニャの南東にあるらしい。
行ってみると、背の高い木がところせましと立ち並んで、草や葉がうっそうと茂っていたわ。
見通しは悪いし、薄暗い。
…でも、森って不思議よね。
どうして森と、森でないところの境がハッキリしているのかしら…?
植林(森?)であるならまだしも、これって天然よね?


森へ入ってみると、細いけれど、道らしきものがあったわ。
もちろん、けもの道だから、すごく歩きにくいんだけど…
周りは、雪にまみれている。
まっさらな雪面に足跡をつけるのは楽しいけれど、
木の枝からいきなり雪の塊が落ちてきたり、草についている水や積もった雪で足が濡れてしまったり。
仲間のまものたちは、そういうこと気にならないようだけれど、
わたしはちょっと閉口だから、ハミング(ドライゴン)の背中に乗せてもらうことにした。
これなら、少なくとも足は濡れずにすむし、あったかいもの。
森を進んでいくと、木こりの親子がいたわ。
木こりのおじさんは、わたしたちを見るなり、かけよってきて、早口でまくし立てた。
「ここからずっと西に歩いていった森の奥だ…
若い娘の姿が突然現れて、足も動かさずにス〜ッとオレの方へ近寄ってきた。
俺が怖くなって逃げ出すと、娘も追いかけてきたんだ!」

おじさんの顔は、恐怖のためか、真っ青に引きつっていたわ。
確かに、怖いお話ね…
稲●淳二とか織田●道じゃあるまいし、幽霊には慣れていないものね。
でも、おじさん、

怖いなら町へ避難すればいいのに
って気がするんだけど…


おじさんの目撃情報を頼りに、わたしたちは森の西のほうへ進んでみたわ。
奥の方は、今までの道に比べて、ごちゃごちゃと入り組んでいる。
いやだわ…本当に幽霊が出そうよね…
こんなところに、ユナ姫事件の手がかりがあるのかしら…。
…って、

ぎゃぁぁぁぁぁぁぁっ!
い、今の、…さっきのおじさんが言っていた、“若い娘の幽霊”じゃなくて?
その幽霊は、わたしたちの目の前までやって来て、私をじっと見つめて、
そのままくるり、と背を向けて、木々の間に消えた…
……

…………

…今のって…ユナ姫じゃあ…?
でも、ユナ姫って、今はウエスターニャのお城にいるはずよ?
もう、なんだか分からないわ!
とにかく、さっきのユナ姫?を追うわよ!


「…!?ビックリした…おどかさないでよ…」

よく言うわよ!
ユナ姫?を森の奥で見つけたわたしたち。
やっぱり、ユナ姫そっくり…というか、そのものに見えるけれど、
ウエスターニャで見たユナ姫よりも、青白く、すけてみえる。
確かに、これじゃ幽霊よね…
でも、これがユナ姫の幽霊だとすると、ユナ姫はもうこの世にはいないことになってしまうわ!
とにかく、ユナ姫?に話を聞いてみたわ。
彼女は困ったように、
「私は自分が誰なのか、何故こんなところにいるのか、何一つ覚えていなくて、助けを求めていたの。
あら!?あなた、私が誰なのか知っているみたいね!
私を私の家まで連れていってくれないかしら?」

それは構わないけれど…これ、もし何かのワナだったらどうしよう…
いいわ!そのときはぶち倒すのみよ!
わたしがうなずくと、彼女はすぅっと小さくなって、荷物の中に入ってきた。
な、なんか変な感じ…

■ 次の日記へ
■□ 前の日記へ
■□■ イルの冒険INDEXへ