♪ぶっつけ本番旅日記♪partI
あやつり人形


ふくろの中に、ユナ姫?を入れたわたしたち。
ユナ姫?が、本当にユナ姫と関係あるかは分からないけれど、
とにかく、ウエスターニャのお城へ戻ってみましょう!


ウエスターニャの謁見の間へ行ってみると、大きな玉座にはユナ姫の姿はなくって、
王様がひとり、ぽつんと座っていたわ。
ユナ姫がどこへいったのか聞いてみると、王様はため息とともに、
ついに自室にこもるようになってしまったことを教えてくれたわ。
以前来たときよりも、王様、やつれたみたい…
早く、どうにかしないとね!
わたしたちはユナ姫に会うため、姫の自室を探したのだけれど、…
見つかりはしたのだけれど、兵士が通せんぼしていて、どうも入れそうにないの。
どうしよう…でも、諦めるわけにはいかないわ!
う〜ん…他の侵入経路を考えると、非常口か、窓よね…
でも、非常口はないみたいだし、やっぱり窓から侵入するしかないわ!
そう思って、お城の外に出てみると…あれがユナ姫の部屋の窓ね。
しかも都合よく、ツタがそこまで伸びている。
ベリィナイスな展開ね!
さぁ!ユナ姫の部屋に侵入よ!
(侵入って…相変わらずイルちゃんってば悪役だよぅ…)


窓から入ってみると、ユナ姫はテーブルを前に、質素な椅子に腰掛けていたわ。
相変わらずのうつろな目。生気が感じられないわ…
わたしたちに気付いたユナ姫は、とても驚いた様子で、椅子を立って、後じさりした。
そりゃあそうよね。
窓から女の子が入ってくるだけでも驚きなのに、
ドラゴンや、牙むきだしの魚や、巨大イカ
が入ってくれば、そりゃ誰だって驚くわよ…
そのとき。
わたしのふくろの中から、ユナ姫?が飛び出したの!
ユナ姫?は、ユナ姫の体に直進して、口の中に飛び込もうとして…


「…ママテ…イラヌコトヲシテクレルナ…」
機械的な声とともに、ユナ姫の前に、透明な壁のようなものが現れたの!
それに衝突して、ユナ姫?はわたしたちのところにへろへろと返ってきたから、ふくろで受けとめる。
え〜っと…何が起こってどうなったの!?
「マサカヒメノタマシイヲミツケルヤツガイルトハナ!」
さっきも聞こえた機械的な声。
その主を探して、わたしたちが首を動かすより早く。
なにか小さなものが、わたしたちの前に立ちはだかった。
それは…あやつり人形?
緑色の服を着た、とってもプリティな顔をしているのだけれど、
彼(?)は、それに似合わない、ヤな話し方で言った。
「シカシワタシヲタオサナケレバヒメハモトニハモドランゾ。
サァワタシトタタカウカネ?」

う〜ん…こんなちんちくりんと戦うの、気がひけるわ…
でも、ユナ姫にはかえられないわ!
よ〜し、ぶち倒すわよ!


口ほどにもなかったわね!!
あやつり人形――“フィアーパペット”って言うらしい。クリスは“偽パペットマン”って呼んでる(笑)――は、
すぅっと消えて、同時にユナ姫の前の透明な壁が消えた。
あ!ユナ姫?が、ユナ姫の体に吸い込まれていくわ!
ユナ姫?は、ユナ姫のたましいだったのね…
(だからぁ、さっき偽パペットマンが言ってたじゃぁ〜ん)
そして、みるみるうちに、ユナ姫の顔色が良くなった。
よかった…これでひと安心ね!
元気になったユナ姫は、事の真相を話してくれたわ。
「森の中で、男と魔物が話していた計画を立ち聞きしているところを見つかってしまったため、
魔物に魂を抜かれてあやつられていたのです。その恐ろしい計画とは…
大空の盾を奪うために人々を争わせて、泉の精霊の力を失わせるというものでした。」

なるほどね…
“ユナ姫をあやつっていたのがあやつり人形”ってのが、微妙に納得できないけど…
しかも、
ずいぶんアバウトな計画よね…
ユナ姫は少し考えていたけれど、急にあわてたように、
「次に彼らが狙うのは、東の国のヘレン女王、そうに違いありません!様子を見てきてください!」
わかったわ!
次に行くのは、東の国ね!


…それにしても、この世界、長いなぁ…

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