♪ぶっつけ本番旅日記♪partI
浮遊大陸


クリス「さあ、今日も元気に、いってみよー!」

…今度はカギ、間違えないでよね…


そうそう。イセカイに行く前に、配合の結果を書いておくわね!

パティ(キラーウエーブ♀)×ダブー(オーク♂)=ウェイブ(たまてがい♂)
ジャベリン(けもののきし♀)×フック(プチヒーロー♂)=ビア(ファーラット♂)
スロー(ミノーン♂)×ている(マッドロン♀)=リグ(スーパーテンツク♀)
シャロン(ガップリン♀)×ユーイン(グリズリー♂)=ファイティ(はなまどう♂)
ロリー(ギズモ♀)×アルフレド(おおなめくじ♂)=ぜーる(とげぼうず♂)
エリス(はねスライム♀)×ビア(ファーラット♂)=ボノ(ホイミスライム♂)
アザリン(ポイズンリザード♀)×ファイティ(はなまどう♂)=セレナ(フーセンドラゴン♀)
ウェイブ(たまてがい♂)×シャイ(フェアリードラゴン♀)=セフティ(おおうつぼ♂)
マフィン(マーマン♀)×ぶるく(ベビーサタン♂)=コービー(バブルデーモン♂)


加えて、お城の下の酒場で、お見合いもしたわ。

ぜーる(とげぼうず♂)×酒場のとげぼうず=ケリー(ばくだんいわ♂)

なんか、どれだけ寄り道をしていたのかよく分かるような数の配合だわ…


さて、早速、次の世界に出発よ!
天空のかぎを差しこんで、着いたのは浮遊大陸!
わぁ、ホントに、空の上にあるのね!

クリス「そりゃ、浮遊大陸だもん…」

そんなサメたツッコミしないでよ!
さて、と…どっちに行ったらいいのかしら?
とりあえずは、山脈に沿って北、よね。

クリス「あ、山、終わったよ。ねぇねぇ、下に行ってみよう!」

…今の段階で下に行ってもねぇ…ってこと、わかってるくせに〜!

クリス「えへへ。じゃあいいよ。そのまま北に行こう!」


北に歩いていくと、高い塔が見えた。
そのまわりに、村があるみたい。石造りの建物が見える。
近づいてみると、

クリス「あれ?人がいないよ?」

なんていうか、“嘘じゃないけど真実をついてもいない”の典型的な例ね。

クリス「…じゃあ、『人がいないかわりに、魔物がいるよ』?」

それも微妙に誤解を招くと思うけど…
クリスが言ったとおり、そこには人がいなかった。
けれど、魔物に占拠されているというわけじゃなくて、ただ単に、魔物が住む村みたい。
村の名前は、フント。
大賢者ウゴールと、光のオーブを祭る村だ、ということを、村の人たち(?)が教えてくれた。

クリス「大賢者、ねえ…
なんか胡散臭く聞こえるのは、イブールとかぶるから?
そーいえばアイツの本買ったなー。なんかの役に立つかと思ってたのに、…ぶつぶつ…」


…ごめんクリス、それ、どこの話かわからないやわたし。
大賢者ウゴールは、光のオーブで世界を救った人。
で、光のオーブとは、なにやら力を秘めたものらしい。
話によれば、そのオーブには、魔物をあやつる力があるのだとか。
そのオーブを使いこなせば、魔物の王になることだってできる、とも聞いたわ。
へぇ…でも、魔物の王様なんか、なりたくないけど。
そのオーブは、村の中心の塔の奥に封印されている、ということだった。
大賢者ウゴールのお墓は村の中にあるというので、わたしたちはお参りに行くことにした。
せっかく来たんだもんね!


ウゴールの墓は、共同墓地の片隅にあった。
わたしとクリスとで、すこしお掃除をして、お線香を立てて、手を合わせた。
…ん?
クリス、なにをそんなに熱心にお参りしているの?

クリス「大学院に行くお金が貯まりますように。T教授のゼミに行けますように。
G先生を見返すことができますように。中国語演習、単位取れますように。…」


ちょっとクリス、なにお願い事してるのよ!?

クリス「…だって、手を合わせている間、何考えていいかわからないんだもーん。
おかーさんもおばーちゃんも、『じゃあ、何かお願い事でもしてごらん』って、昔から。」


…う〜ん…それ、叶うの?

クリス「そうだなぁ…受験はぱこぱこ受かってるよ。」

…それは、クリスの目標が低すぎるから…(笑)。

クリス「あ!今のさりげなく失礼でしょ?確かに、ウチの学校、『誰でも受かる』とか言われてるけど…
…イルイル、話が進まないから、この話はここまでにしよ。」


それもそうね。
わたしたちが話をいったんやめると、どこからともなく、声がした。

*「…わたしの眠りを妨げるものは、一体誰だ?」

声はウゴールのお墓の中から聞こえていた。
墓石を見ると、その前に、ぼんやり、薄い、黒い影が見える。
もしかして、これ…

クリス「ホエールマージよね。

大賢者ウゴールの亡霊よ!
ウゴールの亡霊は、わたしたちをものめずらしそうに見て、言ったわ。

ウゴール「しかし、もはや誰もオーブを手にしてはならぬのだ。」

クリス「なにもオーブ欲しいなんて言ってないじゃん。」

クリス、もうちょっと死者をいたわりなさいよ。
しかし、ウゴールは、クリスを無視して続けた。

ウゴール「オーブは封印され、ただ眠るのみ…
そう、このわしのようにな…」


起きてるじゃん。

クリス「あ〜!それ、私が言おうと思ったのに〜!」

ウゴールは、めんどくさそうな顔をこっちに向けて、そのまますぅっと消えていったわ。
クリスがぼそっ、と呟いた。

クリス「…っていうか、今のホエールマージ、私のこと、完っ全に無視してたわね?」

まぁ、クリスにマトモに付き合ってたら、時間なくなるしね。

クリス「ふぅん…ちょっとむかっ腹ね。
いいわ!イルイル、塔を荒らしに行くわよ!



え゙っ!?

クリス「とぉ〜ぜんよ!
腹立つじゃない!オーブどろぼーみたいに扱われるし、無視されるし、お願い聞いてくれないし!
それに、ひょっとしたら、マルへその代わりになるかもよ?」


…そうだけどぉ…荒らすのはだめだよぅ。

クリス「なに言ってるのよっ!?人類の歴史は強奪の歴史っ!
さぁっ!行くわよ〜!!ホエールマージをぎゃふんと言わせてやるんだから!」



結局、わたしは、やる気満々のクリスに引っ張っていかれた…

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