浮遊大陸 クリス「さあ、今日も元気に、いってみよー!」 …今度はカギ、間違えないでよね… そうそう。イセカイに行く前に、配合の結果を書いておくわね! パティ(キラーウエーブ♀)×ダブー(オーク♂)=ウェイブ(たまてがい♂) ジャベリン(けもののきし♀)×フック(プチヒーロー♂)=ビア(ファーラット♂) スロー(ミノーン♂)×ている(マッドロン♀)=リグ(スーパーテンツク♀) シャロン(ガップリン♀)×ユーイン(グリズリー♂)=ファイティ(はなまどう♂) ロリー(ギズモ♀)×アルフレド(おおなめくじ♂)=ぜーる(とげぼうず♂) エリス(はねスライム♀)×ビア(ファーラット♂)=ボノ(ホイミスライム♂) アザリン(ポイズンリザード♀)×ファイティ(はなまどう♂)=セレナ(フーセンドラゴン♀) ウェイブ(たまてがい♂)×シャイ(フェアリードラゴン♀)=セフティ(おおうつぼ♂) マフィン(マーマン♀)×ぶるく(ベビーサタン♂)=コービー(バブルデーモン♂) 加えて、お城の下の酒場で、お見合いもしたわ。 ぜーる(とげぼうず♂)×酒場のとげぼうず=ケリー(ばくだんいわ♂) なんか、どれだけ寄り道をしていたのかよく分かるような数の配合だわ… さて、早速、次の世界に出発よ! 天空のかぎを差しこんで、着いたのは浮遊大陸! わぁ、ホントに、空の上にあるのね! クリス「そりゃ、浮遊大陸だもん…」 そんなサメたツッコミしないでよ! さて、と…どっちに行ったらいいのかしら? とりあえずは、山脈に沿って北、よね。 クリス「あ、山、終わったよ。ねぇねぇ、下に行ってみよう!」 …今の段階で下に行ってもねぇ…ってこと、わかってるくせに〜! クリス「えへへ。じゃあいいよ。そのまま北に行こう!」 北に歩いていくと、高い塔が見えた。 そのまわりに、村があるみたい。石造りの建物が見える。 近づいてみると、 クリス「あれ?人がいないよ?」 なんていうか、“嘘じゃないけど真実をついてもいない”の典型的な例ね。 クリス「…じゃあ、『人がいないかわりに、魔物がいるよ』?」 それも微妙に誤解を招くと思うけど… クリスが言ったとおり、そこには人がいなかった。 けれど、魔物に占拠されているというわけじゃなくて、ただ単に、魔物が住む村みたい。 村の名前は、フント。 大賢者ウゴールと、光のオーブを祭る村だ、ということを、村の人たち(?)が教えてくれた。 クリス「大賢者、ねえ… なんか胡散臭く聞こえるのは、イブールとかぶるから? そーいえばアイツの本買ったなー。なんかの役に立つかと思ってたのに、…ぶつぶつ…」 …ごめんクリス、それ、どこの話かわからないやわたし。 大賢者ウゴールは、光のオーブで世界を救った人。 で、光のオーブとは、なにやら力を秘めたものらしい。 話によれば、そのオーブには、魔物をあやつる力があるのだとか。 そのオーブを使いこなせば、魔物の王になることだってできる、とも聞いたわ。 へぇ…でも、魔物の王様なんか、なりたくないけど。 そのオーブは、村の中心の塔の奥に封印されている、ということだった。 大賢者ウゴールのお墓は村の中にあるというので、わたしたちはお参りに行くことにした。 せっかく来たんだもんね! ウゴールの墓は、共同墓地の片隅にあった。 わたしとクリスとで、すこしお掃除をして、お線香を立てて、手を合わせた。 …ん? クリス、なにをそんなに熱心にお参りしているの? クリス「大学院に行くお金が貯まりますように。T教授のゼミに行けますように。 G先生を見返すことができますように。中国語演習、単位取れますように。…」 ちょっとクリス、なにお願い事してるのよ!? クリス「…だって、手を合わせている間、何考えていいかわからないんだもーん。 おかーさんもおばーちゃんも、『じゃあ、何かお願い事でもしてごらん』って、昔から。」 …う〜ん…それ、叶うの? クリス「そうだなぁ…受験はぱこぱこ受かってるよ。」 …それは、クリスの目標が低すぎるから…(笑)。 クリス「あ!今のさりげなく失礼でしょ?確かに、ウチの学校、『誰でも受かる』とか言われてるけど… …イルイル、話が進まないから、この話はここまでにしよ。」 それもそうね。 わたしたちが話をいったんやめると、どこからともなく、声がした。 *「…わたしの眠りを妨げるものは、一体誰だ?」 声はウゴールのお墓の中から聞こえていた。 墓石を見ると、その前に、ぼんやり、薄い、黒い影が見える。 もしかして、これ… クリス「ホエールマージよね。」 大賢者ウゴールの亡霊よ! ウゴールの亡霊は、わたしたちをものめずらしそうに見て、言ったわ。 ウゴール「しかし、もはや誰もオーブを手にしてはならぬのだ。」 クリス「なにもオーブ欲しいなんて言ってないじゃん。」 クリス、もうちょっと死者をいたわりなさいよ。 しかし、ウゴールは、クリスを無視して続けた。 ウゴール「オーブは封印され、ただ眠るのみ… そう、このわしのようにな…」 起きてるじゃん。 クリス「あ〜!それ、私が言おうと思ったのに〜!」 ウゴールは、めんどくさそうな顔をこっちに向けて、そのまますぅっと消えていったわ。 クリスがぼそっ、と呟いた。 クリス「…っていうか、今のホエールマージ、私のこと、完っ全に無視してたわね?」 まぁ、クリスにマトモに付き合ってたら、時間なくなるしね。 クリス「ふぅん…ちょっとむかっ腹ね。 いいわ!イルイル、塔を荒らしに行くわよ!」 え゙っ!? クリス「とぉ〜ぜんよ! 腹立つじゃない!オーブどろぼーみたいに扱われるし、無視されるし、お願い聞いてくれないし! それに、ひょっとしたら、マルへその代わりになるかもよ?」 …そうだけどぉ…荒らすのはだめだよぅ。 クリス「なに言ってるのよっ!?人類の歴史は強奪の歴史っ! さぁっ!行くわよ〜!!ホエールマージをぎゃふんと言わせてやるんだから!」 結局、わたしは、やる気満々のクリスに引っ張っていかれた… ■ 次の日記へ ■□ 前の日記へ ■□■ イルの冒険INDEXへ |