交換条件 カメハ王子が、お城に帰ろうとしたとたん、わたしたちの足元が揺れたわ。 な、なんなの…!? わたしたちが辺りを見回していると、どこからともなく、変なモノが現れた! 変なモノ「はじめまして!私ははざまの世界の王ドーク!」 ドークとかいう変なモノは、そう言って、にこやかに、 ドーク「さまざまな世界を旅して、宝を集めています。 あなたがたの宝をいただきに参りました。」 え? わたしたちは顔を見合わせた。 カメハ「なんだって!?何でそんなことするんだよ!」 クリス「コレクターだからだと思うよ。」 ちょっと、こんなときにもっともなツッコミしないでよ! ドークは、わたしたちを一瞥して、続けた。 ドーク「私にとって他人がうらやむものねたむもの… それ自体が宝…私の力となるのです。 私こそ真の魔王… 私が留守の間、あなたには部下たちが大変お世話になりましたね。 まったく… ふがいない部下を持つと苦労しますな。」 クリス「…中間管理職…?」 クリスのツッコミをキレイに無視して、ドークは続けたわ。 ドーク「さて、時間もないことですし、本題に移りましょうか。 あなたの探しているマルタのへその代わりのものが、私のコレクションの中にあるのですよ。 マルタを救うためには必要なのでしょう?そこで… 今までに集めた宝と交換して差し上げましょう! あなた方にとっても、悪い話ではないでしょう?」 クリス「気に入らないわね…。どうする、イルイル?」 … 私は、マルタのことを考えた。 私は、マルタにやってきたばかり。 マルタがもし、沈んだとしても、おばあちゃんの家とか、いくところはいっぱいある。 でも。 カメハ王子や、ワルぼうや、他の、マルタの人たち。 彼らは、ずっとマルタと一緒に生きてきたのよね…。 彼らが、マルタが沈むからって、簡単に島を離れることができるのかしら? … …わかったわ、ドーク! ドーク「商談成立ですね。ファッファ!」 満足げに笑ったドークは、その後、目をきらりと光らせて、 ドーク「では、手始めに、オーブとここの宝はいただきますよ。」 言葉とともに、わたしたちのまわりにあった宝物が、ドークの元にすいあげられていった。 …… そして、ドークは、代わりに不思議な鍵を投げてよこした。 これを使えば、ドークの城まで行けるよう。 ドーク「それでは、歓迎の用意を整えてお待ちしていますよ。」 そういって、ドークは去っていった。 カメハ「オオレの宝がみんな持っていかれちまった!! あいつ…オレの宝…みなに集めさせた宝を!」 あんたはやっぱり、宝なのね… カメハ「…それより、大丈夫か? あんな話に乗っちまって… これまでお前が集めたへその代わりの宝まで城にもってこいだなんて、きっと罠に違いないぜ!」 しかた…ないわよね… 数分後、わたしたちはマルタに戻ってきていた。 ワルぼう「しかし、厄介なことだぞ! はざまの世界に何か不思議な力は感じるが… それがマルタのへその代わりのものかわからないんだ。」 クリス「いつものことじゃん。」 ワルぼう「…。 …だ、だが、ヤツの話に乗ってみるしか手はないな。 マルタに残された生命力もすくな…ん?」 ワルぼうが言葉をとめた時、マルタが大きく振動するのを、私たちは感じた。 マルタが…沈む… 今まで、マルタが沈む、と言われても、なんとなく実感は沸かなかったけれど、 やっぱり、現実のことなのよね…。 お城のことを心配して、いったんカメハ王子が帰った後、ワルぼうは言ったわ。 ワルぼう「実は、へそにならなかった宝は、オレが修理して預かっていたんだ。」 クリス「欠陥品だったん…?」 わたしは、ワルぼうから、海鳴りの鐘・破壊の鏡・大空の盾を受け取った。 あとには…引けないね… ■ 次の日記へ ■□ 前の日記へ ■□■ イルの冒険INDEXへ |